表題番号:1997A-085 日付:2002/02/25
研究課題境界を持つ3次元多様体のハンドル体分解
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 教授 鈴木 晋一
研究成果概要
コンパクトで連結で、向き付け可能な3次元閉多様体は、2つの同じ種数のハンドル体に分解され(Heegaard分解と呼ぶ)、その対称性から研究に広く活用されている。ところが、境界を持つ3次元多様体については、1970年にJ.S.Downingが2つの同じ種数のハンドル体に分解できることを示し、1973年にL.G.Roelingが境界が連結な場合にこの分解がある種の対称性を持つことを指摘した。しかし、一般にこの分解の基礎的な性質が判っていないため、十分な応用がなされていない。本研究ではまず、Roelingの方法に従って、境界成分の個数が一般の場合にも対称性を持ったハンドル体分解が存在することを証明した。続いて、閉多様体の場合に有効なHakenの定理をこの分解に関して定式化し、証明した。つまり、もし本質的な2次元球面を含むならば、ハンドル体の境界面と1本の閉曲線で交差するような本質的な2次元球面が存在することを示した。
研究成果の発表:
1998年2月  コンパクト境界付き3次元多様体のハンドル体分解、早稲田大学教育学部『学術研究(数学編)』、第46号、pp.11-16.