表題番号:1997A-081 日付:2002/02/25
研究課題2階準線形偏微分方程式の発展方程式論的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 教授 小林 和夫
研究成果概要
Rnの開集合Uにおける対流項をもつ非線形楕円型方程式
 b(u)-div{a(x,u,Du)+h(u)}=f
 に対するDirichlet問題と、X(0,T)における非線形放物型方程式
 ut-div{a(t,x,u,Du)+h(u)}=f
 に対する初期値-境界値問題のL1理論の研究を行った。ここで、bは非減少関数、aはRnに値をとるCaratÉ odory関数、hはR nに値をとる連続関数である。aはDuについての単調性とuについての増大度が仮定されているが、hについての増大度は仮定しない。これらの方程式は多孔性媒体における流体の研究、例えばダムの水の浸透問題などに現れる。
 これらの方程式の解として、超関数解を採用すると一意性が成り立たない。そこで、この問題の本質は如何に適切に解を定式化するかである。本研究では、再正規化解(renormalized solotion)なる概念を採用して、解の存在と一意性を証明した。再正規化解はDiperna-LionsによってBoltzmann方程式の研究において導入された概念である。一方、É ;nilan等の研究者達は、エントロピー解なる概念を導入し、これらの方程式を研究しているが、本研究では、再正規化解とエントロピー解は同値であることも証明した。
研究成果の発表:
(1)再正規化解とエントロピー解の同値性について(早稲田大学教育学部学術研究-数学編- 1998年2月pp.17-23);(2)Existence and uniqueness of renormalized solutions of degenerate quasilinear elliptic equations in L1 spaces (1998, submitted)