表題番号:1997A-074
日付:2002/02/25
研究課題国境の島の「伝統」と「近代」―沖縄・与那国島における歴史人類学的研究―
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 文学部 | 助手 | 原 知章 |
- 研究成果概要
- 97年7月下旬から9月下旬にかけて、主な調査地である与那国島を中心に、沖縄県内にて現地調査を実施した。そしてその成果にもとづいて、いくつかの研究成果を発表することができた。
9月には論文「伝承の正典化―沖縄・与那国島の事例より―」(『民族学研究』62巻2号、日本民族学会)を発表することができた。この論文では、与那国島に伝わる伝承が、過去100年間にどのように変化し、また持続してきたのかということを「沖縄学」の趨勢の変化という歴史的コンテクストのもとで論じた。この研究は沖縄(特に与那国島)におけるメディア発達の歴史と文化変容の相関という歴史人類学的研究の課題の一環として行なったものである。
また、97年度は、与那国町史編纂作業に携わり、『与那国町史別巻I 記録写真集 与那国』(与那国町史編纂委員会編、与那国町発行)が刊行された。沖縄では地域史づくりが盛んであるが、今後は、こうした地域史編纂作業への関わりを通して沖縄における地域史という活字メディアの興隆が、地域住民の歴史意識や文化的アイデンティティの変容とどのように関わっているのか、という問題についても考察していきたいと考えている。
98年3月にはこれらの研究の認識論的な基盤を整理した論文「島民とは誰か―反民族誌的全体論のための予備的考察―」(『史観』第138冊、早稲田大学史学会発行)を発表した。現地調査にもとづくその他の成果として、来年度には共著『沖縄のエイサー』(沖縄市観光課・平和文化振興市史編集室編、那覇出版刊)が刊行される予定である。