表題番号:1997A-031 日付:2002/02/25
研究課題フランスの有期労働契約に関する1979年法制定に至るまでの有期労働契約法制に関する判例研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 島田 陽一
研究成果概要
研究者は、近年における雇用形態の多様化のなかで、有期労働契約および派遣労働契約のようないわゆる非典型労働契約の役割が大きくなってくるのに対して、現行法制は、十分な対応力を備えたものではないとの認識のもとに、非典型労働契約法制の発達したフランス法を比較の対象として選択し、研究を進めている。
 今期は、フランスの最初の有期労働契約法である1979年法制定に至るまでの、有期労働契約に関する裁判例の検討を課題とした。これは、判例法の内容が1979年法の内容を規定しているという認識から、1979年法以前の判例の分析こそフランスの有期労働法制の基本的な考え方を明らかにすると考えたからに他ならない。
 研究者は、この結果契約締結の時点で契約終了の時期が明確にされている労働契約だけを有期労働契約と理解するという判断基準が確立されていったこと、このことが後の立法における有期労働契約の定義へと結実していったことが明らかにできた。このことは、日本の有期労働法制の立法化を検討するうえで重要な示唆であると考えている。
 研究者は、この成果を『早稲田法学』74巻2号(本年12月刊行予定)に公表する予定である。