表題番号:1997A-016 日付:2008/06/02
研究課題現代都市における居住法の意義に関する基礎的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 内田 勝一
研究成果概要
19世紀から始まった都市化、産業化の中で、西欧諸国においては、独自のしかも重要な社会問題として、住宅問題が登場した。これまで、小職は、イギリスにおける住宅法の発展過程についての研究を行ってきた。本研究は、それをうけて、第一に、現代都市における住宅問題・土地問題を対象にして、国家がおこなってきた住宅問題解決への政策的介入の諸類型を明確にし、第二に、体系的介入の論理的構造を分析し、法制度の構造分析をおこない、第三に、政策、法の背後にある、思想を明らかにすることを目的としている。本年は、現代日本の居住問題を居住者の権利という観点から考察し、その基本的構成要素を明らかにすることに努めた。一九八〇年代後半からのいわゆるバブル期を経て、都市における居住地の階層的分化が著しくなっている。このような中では、国民の権利としての居住を保障するための公共政策の進展が不可欠である。しかし、規制緩和、民営化、脱福祉国家論の横行する今日の我が国では、住宅政策への公共的介入が弱まっている。本研究では、このような状況に変革を迫るため、居住法・住宅法の基本的な構造要素を明らかにし、現代国家においても、その課題が存在していることを明らかにした。
 本研究成果の一面は、下記の論文によって公刊した。なお、本研究を発展させるものとして、小職が代表者となり、文部省科学研究費国際学術共同研究をえて、おこなっている「都市政策における公共・民間・第三セクターの機能分担のあり方」がある。この研究はバーミンガム大学都市地域研究センター、および日本研究センターの研究者と共同して研究を行っている。
研究成果の発表
1997年 「都市における居住問題」岩波書店発行
11月 『講座現代の法第9巻・都市と法』所収