表題番号:1997A-013 日付:2002/02/25
研究課題統計調査における無回答処理の統計理論的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 助教授 西郷 浩
研究成果概要
標記課題について、リサンプリング法の応用をサーベイし、いくつかの実験をおこなった。
 無回答を補完した調査データにおける推定量の精度を評価するための方法には、これまでのところ3つの手法が考案されている:(1)修正 Jackknife 法;(2)Bootstrap 法;(3)Multiple imputation 法。実験の結果、適用範囲の柔軟さや精度評価の正確さから、Bootstrap 法が有用であるとの結論をえた。Bootstrap 法の利点のひとつは、母数のノンパラメトリックな区間推定がおこなえることである。このことは、無回答を補完した調査データの場合にも志向されるべきである。そこで、この点に関して、Bootstrap-t 法とBCa 法とについて具体的な手法を提案し、実験をおこなった。その結果、提案した手法は、母数の捕捉率が名目値を下回る傾向がみられるものの、母集団の歪みに対応しうることがわかった。
 今後は、捕捉率低下の原因を理論的に解明して、それを是正した手法を研究していく。
研究成果の発表:1997年10月「無回答処理へのリサンプリング法の応用」『早稲田政治経済学雑誌』第332号 160-195.
1998年1月「無回答を補完した調査データにもとづくノンパラメトリックなブートストラップ区間推定」『早稲田政治経済学雑誌』第333号 215-247.