表題番号:1996C-014 日付:2002/02/25
研究課題参加のまちづくりに関する国際比較研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 専門学校 教授 卯月 盛夫
(連携研究者) 政治経済学部 教授 寄本 勝美
(連携研究者) 社会科学部 教授 土方 正夫
(連携研究者) 社会科学部 助教授 早田 宰
(連携研究者) 理工学部 教授 戸沼 幸市
(連携研究者) 理工学部 教授 佐藤 滋
(連携研究者) シュトゥッツガルト大学 講師 アレキサンダー・シュミット
(連携研究者) 台湾大学 教授 陳 亮全
研究成果概要
市民参加の制度が整っている欧米と、市民参加の制度は未整備であるが市民の参加活動が近年極めて活発な日本、台湾の国際比較によって以下のような知見が得られた。
1. 実質的な市民参加を可能にする社会的条件
① 行政や公的機関の日常的および早期の計画情報提供やPRが不可欠である。
② 行政の立場から独立した専門家の見解またはオルタナティブ提案が重要である。
③ 新聞やTV等の身近なマスコミに公共事業やまちづくりに関わる記事や比較情報が掲載される機会が多い。
2. 市民参加のまちづくり事例比較
① 日本、台湾では比較的争点が少なく市民が参加しやすい公園、緑道系オープンスペースの事例が多く、続いてコミュニティ施設、住環境整備の地区計画等がある。都市全域を対象とする都市計画マスタープランや総合計画、都市政策に関わる実質的な市民参加の事例はまだ少ない。
② ヨーロッパでは、規模の大小に拘らず公的な計画設計にコンペ方式を採用するケースが多い。専門家による様々な提案を題材に行政、市民、専門家が対等に議論する事を通じた決定プロセスが公開されている。
③ アメリカでは行政の都市計画、都市政策に対して、民間非営利の専門家団体が市民と連携してオルタナティブを提案し、それによって地域社会全体で議論、合意形成するケースが多い。
3. 参加のまちづくりを進めるための課題
① 市町村が都市計画高権を有し、それに見合う政策立案機能をもつ事。
② 市民活動から議員提案に結びつくような議会の市民化。
③ 大学等非営利の専門家団体が市民活動をアドボケイト支援できるような体制づくり。
④ 市民が身近な環境に関する学習や実践ができる機会を増やし、参加意識を高める事。
研究成果の発表
佐藤滋
1996年8月 建築資料研究社、造景No.4「まちづくりはゲームのように」
1996年9月 日本建築学会、大会学術講演概要集「住民参加による地区詳細計画づくりを支援するための建物“原型”を用いたワークショップ開発まちづくりにおける参加の手法に関する研究」
1996年9月 日本建築学会、「地域性に依拠したまちづくりのパートナーシップ形成に関する研究」
1997年3月 (財)浦和市都市整備公社、4巻、「浦和市中央区まちづくりに関する研究、仲一平和街のまちづくり その2」
早田宰
1996年 国土庁、「野田北部地区における復興プロセスの主体の協調」
1996年 日本建築学会、「野田北部・鷹取東第一地区の復興プロセス」、(市街地像の協議のための技術と制度)
1996年 住宅総合研究財団、年報、「環境保全型地区計画の策定プロセスに関する研究」
1996年 日本建築学会、「不良住宅地区改良事業および住環境整備事業」(市街地像を協議する技術と制度)
1997年 新建築家技術者集団、建築とまちづくり、「目標空間イメージと合意形成プロセス」
卯月盛夫
1997年9月 日本建築学会、市街地像の協議のための技術と制度「まちづくり基金と中間セクター」
1996年12月 ぎょうせい、地方財務、「公共施設の立地・設置における新しい自治体の対応」
1997年6月 建築資料研究社、造景No.9「参加のまちづくりのめざすもの」「市民参加の制度と仕組み―ドイツと日本を比較して」
1997年9月 東京市政調査会、都市問題No.88「市民の役割とパートナーシップ」
1997年11月 建築資料研究社、共に住むかたち「都市のデザインと市民参加」