表題番号:1996B-031 日付:2002/02/25
研究課題生産システムのライフサイクル・メンテナンス
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 高田 祥三
(連携研究者) 理工学部 教授 大成 尚
(連携研究者) 理工学部 助教授 棟近 雅彦
研究成果概要
生産設備をそのライフサイクルを通じて適切に管理するためには、想定される設備の使用環境、運転状況に基づき、設備の設計、運用、保全の内容を十分に事前検討し対策を施すことが必要である。さらに、それでも運用段階で生じる種々の問題に関しては、的確に情報を収集し、運用、保全計画ならびに設計改善にフィードバックする必要がある。本研究では、このようなフィードフォワードとフィードバックのループを効果的に回すことで、常に設備の進化を図りながらその管理をするための設備ライフサイクルメンテナンスのフレームワークとそれに必要なツールの開発を行った。前者に関しては、種々の変化に適応してメンテナンス方式を選択する基本計画機能を軸にして、3つの管理ループを持った仕組みを提案した。また、設備の使用にともなう種々の問題を事前検討するためのツールとして、設備を特定の運転条件で使用したとき、その各部に生じる劣化とそれにともなう機能低下を、設備モデルと劣化モデルに基づいて予測する、ライフサイクルシミュレーションシステムを開発した。これを、実際の自動組立ラインで用いられている産業用ロボットに適用し、過去数年間の故障履歴とシミュレーションの結果を比較することにより、システムの妥当性を検証した。さらに、設備の運用段階で生じる種々の不具合に関する情報を適切に収集し、それを基に運転、保全、ならびに設計においてそれぞれ改善すべき項目を抽出するためのMP情報管理システムの検討を行った。まず、不具合情報の内容を分析し、そこに盛り込まれる項目の分類と設計にフィードバックすべき情報の整理を行った。さらに、設備の劣化にともなう不具合を、一定の形式で表現するための不具合情報入力システムを開発した。このシステムでは、現象を不具合を引き起こす基本的なメカニズムの組合せとして表現するとともに、不具合が生じた部位を3次元ソリッドモデルに基づく設備モデル上に表現できるようにした。これにより、情報の欠落やあいまいな表現を避け、統一的で再利用可能な不具合情報の収集が可能となった。