表題番号:1996B-018 日付:2002/02/25
研究課題主として未刊の草稿、書簡類によるアルフレッド・シュッツ研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 教授 那須 壽
(連携研究者) 商学部 教授 桜井 洋
(連携研究者) 教育学部 教授 北澤 裕
研究成果概要
(1)Estate of Ilse Schutzの権利者Evelyn S. Langの同意・承認のもと、「シュッツ文庫」の責任者Lester Embree教授(Florida Atlantic University)から送られてきた、A・シュッツの未刊の草稿類が収められているマイクロフィルム7巻のハードコピーを作製し、それらを逐一確認しながら索引を作成した。このマイクロフィルムと索引は、近い将来に開設される予定の「早稲田大学シュッツ文庫」の基本資料として、希望する研究者の利用に供される予定である。
(2)作成された索引に基づきながら、既刊の諸論稿の初期草稿(手書き草稿とタイプ草稿の一方または両方)と未刊の草稿とに区別し、まず最初、公表された論稿と初期草稿との比較検討に着手した。共同研究者どうしの相互検討は言うに及ばず、アメリカとドイツの両「シュッツ文庫」の責任者たちとも緊密に連絡を取り合いながら、現在も引き続いてなされているこの比較検討は、シュッツの思考過程を知るうえできわめて有効なデータを提供してくれており、その一部は、本研究の代表者が刊行した『現象学的社会学への道』(恒星社厚生閣、1997年12月)に盛り込まれている。
(3)膨大な未刊の草稿に関しても、共同研究者やアメリカ、ドイツの「シュッツ文庫」責任者たちと共同で、それらのタイプ原稿化を順次、試みている。これら未刊の草稿は、論文の体裁を採っているものから、論文の構想を書き付けているものやメモ書き、書簡まで、多様であるが、それらはいずれも、表現がより直截的であると同時に、シュッツの思考の方向性や意図を端的に表しており、彼の思想を知るうえできわめて興味深いものである。この点での研究成果の一部は、先に挙げた『現象学的社会学への道』と、研究代表者の口頭発表(Symposium on Alfred Schutz's Theory of Social Science at Florida)に盛り込まれており、また研究分担者も現在、それぞれ論稿を準備中である。
研究成果の発表
那須 壽
1997年10月 口頭発表“What is Real in a Grassroots Movement for Alternative Lifestyle?”FAU/CARP Research Symposium on ‘Alfred Schutz's Theory of Social Science’(Derlay Beach, Florida, USA)
那須 壽
1997年12月 『現象学的社会学への道―開かれた可能性を索めて』 恒星社厚生閣(提出済)
桜井 洋
(予定)「現代社会と身体のレリヴァンス」、『早稲田商学』 早稲田大学商学部
北澤 裕
(予定)「エスノメソドロジーと観光分析」、『学術研究』 早稲田大学教育学部