表題番号:1996B-002
日付:2002/02/25
研究課題映画を使用した語学―一般教育科目の可能性
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 法学部 | 助教授 | 森田 典正 |
(連携研究者) | 語学教育研究所 | 教授 | 井田 卓 |
(連携研究者) | 法学部 | 教授 | グレアム・ロー |
- 研究成果概要
- 家庭用ヴィデオの普及にともなうヴィデオ・ソフトの充実は、過去十数年にわたって非常に顕著である。しかしながら、現在、映画のヴィデオ・ソフトを体系的、網羅的に収集する、いわば、ヴィデオの図書館とでも呼ばれる施設は存在しない。早稲田大学においても、ヴィデオ・ソフトの収集は、中央図書館、各学部・研究所の視聴覚教室で個別に、限られた予算のなかで行われているだけである。本特定課題研究の研究者三人は、まず、早稲田大学のヴィデオ・ソフト所蔵の現状を把握することからはじめ、それに三人が個人として所有するものを含め目録を作成した。この目録を参考に、それぞれが担当する、あるいは、担当を計画する授業に必要なヴィデオ・ソフトをひとまずそろえた。森田は法学部一般教育科目の映像論、映画史、外国文化研究(映像と社会)の、ローは外国文化研究(イギリスの文化と社会)の資料としての、ヴィデオ・ライブラリーをつくった。ヴィデオ・ソフトが映画関係の授業に使用できるのは当然であるが、文学、文化研究、地域研究、メディア研究、歴史にも十分利用できるものである。法学部外国文化研究では、映画をイギリスの制度や風俗を説明するための歴史的・社会的資料として使ったり、映画のスタイルやテーマの歴史的変遷に、社会的、思想的、政治的変遷を重ね合わせることをしている。また、井田を中心として、映画のシーンを編集し、スキットをいれた語学教材を作成した。ヴィデオ編集機の発達のおかげで、画像への文字の書き込み等が非常に容易になり、独自の教材の作成も、もはや、難しいものではくなった。また、耳の不自由な人のために作られている、アメリカの英語字幕がクローズド・キャプションとしてはいったソフトと、映画のシナリオを意識的に収集した。映画で話されている外国語を理解するのは、学生にとって必ずしも容易ではない。自然のスピードであるばかりか、口語、隠語が多いからである。そこで、台本や、英語字幕を併用することからはじめ、徐々に音だけに絞っていくのが有益であるように思われる。本研究の第一の目的は、資料所蔵状況の把握であり、教材の作成・開発であって、これはかなり達成されたものと思う。第二の目的は、三人の研究者がそれぞれ、映画学、文化研究、語学教育研究の専門分野で、担当する授業からやや離れた研究成果をあげることである。こちらの方も、やがて、論文、学会発表という形で実現されるはずである。
研究成果の発表:
森田典正 2000年(予定)『映画事典』 研究社
グレアム・ロー 1997年 6月 ‘Dickens on Film', Paper given at University of Exeter School of English and American Studies Seminor
グレアム・ロー 1998年 4月 Great Expectations, Broadview, Peterburough, Ontario
グレアム・ロー 1999年 3月(予定) 英語III, Voices from Britain 放送大学教育振興会
森田典正/グレアム・ロー他 1999年 5月(予定) Symposium: Literature on the Reel, 日本英米文学会