表題番号:1996A-539 日付:2002/02/25
研究課題キャンパス環境で利用する携帯型情報端末のヒューマンインターフェースに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学総合研究センター 教授 松本 充司
研究成果概要
 コンピューター等のダウンサイジングに伴い登場した各種携帯型情報端末においては既存のデスクトップPCやコンピューター周辺機器との間で情報交換、情報共有を実現するため、赤外線メディアを利用したケーブルレス通信が注目され、主にポイントポイント間通信を中心に研究開発が行われている。しかしながら、これまでの赤外線メディア研究開発では音声、グラフィックス、ビデオ等のモノメディアが単独で通信する場合が中心であり、マルチメディアとしての検討がおこなわれていない。大学等のキャンパス環境における講義内容では情報メディア、通信速度、品質の点で異なる複数のサービスクラスが要求される。これらの異なるメディア、通信速度や品質に同一のインターフェースで提供できる多重化機能が要求されるものと考えている。
 このため本件の研究グループではまず赤外線通信の多重化方式を取り上げその方式検討を行った。まず赤外線変調方式としては多重化への拡張性のよい4Mbpsの標準速度クラスとして採用されているパルス位置変調(PPM:Pulse Position Modulation)を取り上げた。これをベースに異なる系列長の拡散系列を用いた同期式SSMA(Spread Spectrum Multiple Access)を利用し、異なる伝送速度による多重通信を可能とする通信方式およびそのために必要な拡散系列の生成法について提案し学会へ発表した。本提案方式はネットワークの負荷の状態や、伝送するメディアとその要求品質に応じた伝送速度の制御に応用することができる。今後は方式の可能性を確認するため、装置へ実装した検討を進める予定である。
 さらに、同一の赤外線通信標準方式を導入した製品同士の互換性を高めるためには、インタオペラビリティを確認する必要がある。これらの確認試験に必要となる課題についての検討を行った。今後インタオペラビリティの確認についても詳細を詰めていく。