表題番号:1996A-532 日付:2002/02/25
研究課題感性レベルにおけるインターカルチュラルコミュニケーション能力育成の為の教育プログラムの開発ーその予備的研究ー
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 助教授 齋藤 美穂
研究成果概要
 インターネット等のディジタル系のネットワークの普及は、大衆のコミュニケーションの世界を一挙に地球レベルに広げた。画像と文字と時には音声を交えたマルチモーダルなコミュニケーションの世界が、国家や民族の枠を越えて大衆一人一人のレベルにおいて可能になったといえる。インターカルチュラルなコミュニケーションが日常的に生じる現象となる可能性が強い。我々は第2言語としての英語教育を受けてきたわけであるが、高校3年間における受験教育の弊害は、コミュニケーションのツールとしての英語を学習する機会をいたずらに遠ざける結果となっている。
 いわゆる受験英語は、ペーパーテストにおける高得点を目的とし、知識と読解力に重点をおいている。1970年代以後、英語教授法の重点は、社会的コミュニケーション・スタイルとよばれるものに移った。これは特定の文脈の中で2人以上の人が共同作業を行うことを重視する。
 早稲田大学人間科学部ではここ5年ほど、米国ケースウエスタンリザーブ大学と年間約3ヶ月間、俳句の交換やディベイトを行ってきている。今回の研究はこのプロジェクトの参加者14名の学生の中に参与型観察者としての学生4名を追加した18名と、ケースウエスタン側11名によるインターネット利用のディベイトの過程の詳細な観察とプロトコルの収集を予備的研究として行った。
 現段階までの分析のうち、感性に関わる部分では以下のような所見がみられた。
 (1)交信相手のメールの多寡がパートナーの通信意欲、学習意欲に強く関係する。
 (2)交信の場をパーソナライズする程度に応じ、交信場面への適応の仕方が変わる。
 (3)顔写真は交信相手の印象を規定する。