表題番号:1996A-527 日付:2002/02/25
研究課題遺伝的アルゴリズムを組み入れた有限要素・境界要素併用法によるMRI用磁気シールドの三次元最適設計
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 専任講師 若尾 真治
研究成果概要
 一般に、モデルの重量を軽減する方法として、寸法最適化や形状最適化よりも位相最適化の方が効果的であることが指摘されてきたが、モデル構造のトポロジーを変える位相最適設計は非常に難しく、電気機器の位相最適化に関して論じた研究はまだ少ない。本研究では軽量で高い遮蔽効果を有するMRI用磁気シールドの設計を目指し、シールドの表面形状の変化と内部に穴をあけるという二つの作業に基づく三次元磁気シールドの位相最適化に取り組んだ。具体的には二種類の方法を提案し、一つは上記二つの作業を同時におこなう方法(並列法)であり、もう一つは個別におこなう方法(直列法)である。
 そして、この二つの方法を用いて電気学会磁気シールドモデルの三次元位相最適化をおこない、その妥当性と有効性を確認した。
 本研究で開発・提案した手法の特長および得られた知見の主なものをまとめると以下のようになる。
 (1)提案手法では、磁気シールド問題に対する位相最適化作業の特性を考慮して、磁気スカラポテンシャルを変数とする有限要素・境界要素併用法を磁界解析手法に採用すると同時に、穴の有無のような離散的な設計変数にも対応が容易である遺伝的アルゴリズムを探査アルゴリズムとして組み入れている。
 (2)並列および直列の二つの方法を用いて電気学会磁気シールドモデルの三次元位相最適化をおこなった結果、単純な平板形状の場合と比較して、遮蔽効果を保ったまま二割弱の重量軽減が達成された。
 (3)並列法は最良の結果を与えるが、直列法も最適化の結果は良好で、計算時間を大幅に短縮できることを考えあわせれば大変有効なものと考えられる。
 (4)また、直列法の最適化の工程における作業に対して数値計算結果とあわせて物理的な意味付けをおこない、シールド表面形状だけでなくシールド内部の穴も考慮して形状最適化から位相最適化へ展開することの有効性を明らかにした。