表題番号:1996A-520 日付:2002/02/25
研究課題光集積回路の実装技術に関するデータベースの構築とテクノロジー・ロードマップの作成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 中島 啓幾
研究成果概要
 光通信の発展はまず、長距離、大容量の幹線系や海底ケーブルの光ファイバ化から始まり、point-to-point伝送の高速化を実現、ついには10Gb/sクラスの伝送速度を達成するにいたった。この過程(1980~1995)において、通信の自由化・国際化の波は世界的な広がりを見せ、通信コストの低減は至上課題となっている。その一方で人体に例えて幹線系が大動脈であるとするなら、支線から毛細血管に至る末端への光ファイバ網の構築が来世紀への課題である。この場合にはいわゆる加入者へのコスト負担をどうするかという深刻なテーマと、幹線系に比べて桁違いな物量を生産しなければならないという両面からの要請が重くのしかかっている。
 かかるニーズ面からのトレンドと平行して学問的には光学系を平面化あるいは積層化して光軸調整をできるだけフリーにした光集積回路の研究が1970年代から行われている。実際に実用化されたものは少なく、導波路型デバイスとして筆者がその開発に関係した超高速外部変調器などごく一部の特殊用途(海底光増幅中継伝送システム端局用)に向けたもののみが実装技術(ファイバとの接続など)を含めて完成されている。
 今後の技術の展開から光集積回路の実装技術を系統だてて整理し、ニーズ面との整合・適用を一目で見通せるようにしておくことはこの分野で欧米に比べても実績のある我が国の産業界と学界の責務である。1996年9月に金沢大学で開かれた電子情報通信学会エレクトロニクスソサイェティ大会においてパネル討論「総合技術として見た光実装の革新はどうあるべきか?」をオルガナイザーとして主宰し、企業各社の第一線の研究者からのニーズおよび要素技術の現状と展望を披露して貰い、聴衆を交えた討論の場を持った。これに前後して内外の関係機関等からの関連資料を入手し、データ・ベースの礎を蓄えるとともに将来展望をロード・マップ化した。