表題番号:1996A-507 日付:2005/12/29
研究課題在外選挙制度の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 戸波 江二
研究成果概要
 日本でまだ実施されていない在外日本国民の選挙について、諸外国の実施状況・実施方法について比較調査研究を行うとともに、あるべき在外選挙制度について研究した。
 研究では、昨年夏のドイツ滞在研究の際に、ドイツおよびオーストリアの在外選挙担当機関を訪問し、両国での在外選挙制度の実施状況についてヒアリングを行った。さらに、本年1月に、在外選挙で在外公館投票を実施しているオーストラリア、ニュージーランド、スウェーデン、ノルウェーの各在日大使館を訪問し、実施状況についてヒアリングを行った。また、外務省の委託研究の一環として行われている在外選挙制度の研究(主査:岡澤憲芙早稲田大学教授)の一環として、上記の諸国に出張して関係諸機関を訪問し、実施状況を調査するとともに、報告書を作成して本年3月末に提出した。
 本年4月のドイツ憲法判例研究会(代表:栗城壽夫上智大学教授)で、1989年のオーストリア憲法裁判所の在外国民の選挙への参加の除外を違憲とする判決について報告し、その概要を自治研究73巻7号(1997年7月号)に掲載した。また、ドイツ・オーストリアの在外選挙制度等について、外務省領事攻策部宛の報告書に原稿を掲載した。
 この1年の在外選挙制度に関する研究を通じて、1.日本でもすみやかに在外選挙が実施されるべきこと、2.選挙権者の範囲は外国永住者も含めて広く日本国民(成年者)とすべきこと、3.在外選挙の実施される選挙としては、衆議院総選挙、参議院通常選挙のすべて(選挙区選挙、比例選挙)で行われるべきこと、4.在外投票の方法は、郵便投票を基本とし、在外公館投票も併用するのが好ましいこと、5.在外選挙以外の選挙(たとえば障害者・船員の選挙)でも、郵便投票・ファックス投票・複数日投票など、選挙人が選挙に参加しやすい制度を考案すべきこと、などの結論を得た。