表題番号:1996A-505 日付:2002/02/25
研究課題共同市場の創設とそこでの公正競争の維持に果たすEC法の役割
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 須網 隆夫
研究成果概要
 本研究の成果は、「ヨーロッパ経済法」(新世社・1997年7月刊行)として公表されるところとなった。このため、同書の内容を紹介することによって、研究成果の概要に代える。
 同書は、欧州共同体の法秩序であるEC法の基本原則を明らかにする部分と欧州共同体の目的である共同市場の設立に関わる部分より成る。後者は、物・人・サービス・資本という4つの自由移動を共同体内に実現するためにEC条約の条文が欧州裁判所にどのように解釈されてきたかを明らかにする部分である。そして、そのように解釈されたEC法が加盟国法秩序に対してどのような効果を生じるかを研究したのが前者の部分であり、両者を合わせて、EC法による加盟国市場統合の過程を明確にすることができた。
 ECにおける市場統合の経験は、他の地域的経済統合、さらにWTOによる貿易投資の自由化の直面する法的諸問題の解決に示唆を与えるものであり、本研究の成果は、今後の国際経済法研究の基礎としての意味を持つと言うことができる。