表題番号:1996A-322 日付:2002/02/25
研究課題現代漢語データベースの構築に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 日本語研究教育センター 教授 野村 雅昭
研究成果概要
 本研究は、1991・1992年度に行なった特定課題研究「日本語教育のための漢字・漢語データベースの構築に関する研究」を発展させ、特に漢語について現代日本語研究そのものに資するデータベースとして拡張することを目的とした。そのために、同データベースより二字漢語を抽出するとともに、各種用語調査の結果などを参考として増補を行い、約2万1千語につき、各種情報の付加を行い、データベース化を行った。
 付加した主な情報は、1.品詞情報、2.語構成情報、3.意味分野別情報の3種である。1.品詞情報は各語の文法的な特性を記述するもので、新聞、文学作品などの用例分析に基づき、すべての作業を完了した。2.語構成情報はそれぞれの語の構成要素の意味・文法的な関係を記述するもので、大方の作業は終了したが修正作業が残されている。3.意味分野別情報はその語がどのような意味分野で使用されるかを記述するもので、国立国語研究所の『分類語彙表』に基づき、作業を終えた。
 このほかに、それぞれの語が文献上、いつの時代からどのような資料にその存在が確認できるかにつき、辞書・索引等による検索を行い、台帳に記入を行った。この作業は、ほぼ3分の1程度の量にとどまり、今後の重要な課題として残されている。
 以上の作業のうち情報の付加は、パーソナルコンピューターを用いて行い、試行的なデータベース化が完了した。これにより、情報内容に関する統計的な解析およびその情報を用いた他資料の分析が可能となった。それぞれについては試験的な研究を行い、下記の論文に報告する予定である。
 野村 雅昭:現代漢語の品詞性(『東京大学国語研究室創設百年記念国語論集』、汲古書院、1998.2)
 野村 雅昭・山下喜代:外国学生用日本語教科書『分野別用語集』の語彙(『講座日本語教育』,第33分冊,1998.3)