表題番号:1996A-313 日付:2002/02/25
研究課題金融市場の変化と資金循環
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) システム科学研究所(現アジア太平洋研究センター) 教授 真野 芳樹
研究成果概要
 金融市場にとどまらず、1990年代に入って、日本経済全体に大きな変化-バブルの崩壊-があり、80年代後半の経済活況の様相が一変し、長い不況感をともなう経済情勢をもたらし、現在もその影響下にある。このような大きな変化を資金循環の観点からとらえ直そうとする研究が本研究である。
 資金循環というとき、実体経済とともに動く資金の流れと、実体経済から遊離して動く資金の流れとに分けることができる。今般の金融市場の変化は、遊離した資金流動が無くなるだけでなく、実体経済にも影響を与えているという意味で、重大な変化といわなければならない。この変化を分析するにあたって、まず着手したことは、実体経済がいかに変化して来たかということである。実体経済の変化が、同時期の諸外国における変化とどのように類似し、相違しているかの研究を行なった。その研究成果の一部を「日本経済の構造変化」と題して、システム科学研究所紀要・第28号に発表した。これは、OECDの比較産業連関表を使って、1970年より1990年に到る実体経済の変化を分析している。ここで明らかになったことは、リーディング産業の変化がどのような構造変化をもたらしたかということであり、このことが資金循環に基本的変化をもたらしたことは明らかである。現在この実体経済の変化をふまえて、資金循環と産業構造の変化について研究をしている。