表題番号:1996A-293 日付:2002/02/25
研究課題高齢化社会に適合的な社会指標体系の構築と試算
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 教授 嵯峨座 晴夫
研究成果概要
 社会の活動水準を計量的に把握し、評価することは極めて重要な学問的課題である。従来は、主として経済活動とりわけ生産活動の把握と評価に力点がおかれてきたが、社会を構成する人々の生活の全体についての計量的把握と評価の試みは、部分的にしか行われて来なかった。この研究では、このような従来の社会指標についての部分的な研究を、時代の新しい動向にマッチしたものとして総体的な開発へと発展させることをねらいとして作業を進めた。
 ここでは、現代社会のメガトレンドとして高齢化社会状況の出現を基底におき、そこでの機能的な社会指標の体系の構築を試みることにした。すでに、筆者は、東京都の社会指標の研究開発に協力し、いくつかのモデルを提案してきた。それらの経験をもとにして、高齢化社会のモデル指標の枠組みを作り、その中にサブシステムとして高齢者介護指標を新たに位置づけてみようとして作業を行うこととして、その前段の研究を今年度は行った。高齢者介護指標を具体的データを用いて完成することはできなかったが、その枠組みと構想については既に試案を公表した。
 また、準備的な作業として、高齢化社会状況の現状分析を目的として、我が国における高齢化研究の展開過程のサーベイを行なうとともに、主として国勢調査のデータを用いた分析の行なった。これらの成果は、近く論文、単著の形でそれぞれ公表することになっている。また、アジアの高齢者の生活にも注目し国際的な共同研究を行なうとともに、論文の作成も行なった。