表題番号:1996A-286 日付:2002/02/25
研究課題韓国における米を中心とした食糧消費の変化に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学部 助教授 弦間 正彦
研究成果概要
 韓国はガット・ウルグアイ・ラウンドの農業合意を受けて、米市場の一部自由化を開始した。これにより今後、農業及び関連産業を取り巻く経済環境の変化は加速化されるものと考えられる。韓国では日本と同様に、経済成長の過程で農業の国民経済における劣位化が進み、稲作部門を例外とせず国際競争力が低下してきている。そして、その背後には国内食料消費の変化が需要サイドの要因として存在している。韓国においても日本がたどったように、所得の向上に伴う食生活の変化が観察され、一人当りの米消費量は都市世帯のみならず農村世帯においても減少傾向にある。その一方で、一人当りの肉、野菜の消費量は増加して推移してきている。
 これら実際に観察される食料消費の変化を説明する要因を明確化し、将来の食料需要の見通しを検討する際に必要となる基礎的な経済指標を推計することが本研究の目的であった。需要構造の分析に広く使用されているAIDSモデルを用いて、相対価格や可処分所得の変化といった経済的要因を中心に分析がなされた。その結果、主要食料品について価格弾力性と所得弾力性が推計され、近年コメが劣等財化していることが確認できた。それ以外にも、韓国の家計消費分野の研究・分析用データの整備をすることも本研究の目的であった。これについては、都市家計と農村家計の消費に関する時系列データと価格指標のデータベースが作成された。価格指標をこれまで長期に集めた例はなく、本研究を通して韓国の食料品価格の時系列データが整備された。