表題番号:1996A-284 日付:2002/02/25
研究課題「老人保健福祉計画」のレベルチェックについての実証的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学部 教授 久塚 純一
研究成果概要
 (1)「老人保健福祉計画」の策定については「地域特性の重視」が重要なポイントの一つとして挙げられてきた。しかし、実際に「施策化されたもの」については、「計画策定のマニュアル」が存在したことや「都道府県の指導」が、「地域特性」を喪失させたのではないかという疑問の余地がある。
 (2)研究者や行政が市町村の「老人保健福祉計画」について「レベルチェック」するにあたっては、1.計画の策定過程、2.計画の内容、3.計画の実効性という点からなされることが多い。しかし、「計画の核となる地域特性の反映」については、「市町村の担当者がローカルなことに関してアイデンティティーがもてるような仕組みになっていたか」が重要な鍵を握っており、「レベルチェック」も、これによってなされることが有用だと考えられる。そこで、過去三年間にわたる「特定課題研究」と、文部省の科学研究費による研究によって、とりわけ、福岡県・佐賀県・熊本県・兵庫県・神奈川県を中心に、アンケートとヒアリングを重ね、担当者の意識という点から、「計画」についての「レベルチェック」の方法を模索することによって、「地域特性」を生かした「老人保健福祉計画」の策定のありかたを検討した。
 (3)「計画についての担当者自身の評価」、「計画に地域特性が生かされたか、否かの評価」、「担当者のローカルなことについてのアイデンティティーの確保」が深い関係にあることが想像される。したがって、レベルチェックも、いわゆる、客観的な評価にウェイトを置くよりも、その点を重視したものが望まれるものと思われる。詳しくは、久塚純一「地方老人保健福祉計画に地域特性は反映されうるのか」[地方自治研究所『自治総研』1997年3月号、221号]参照。