表題番号:1996A-271 日付:2002/02/25
研究課題非線形粘弾性流体で潤滑されたジャーナル軸受の自励振動に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 富岡 淳
研究成果概要
 近年、高速回転や高荷重など過酷な条件下で使用されている滑り軸受では、潤滑剤の諸特性を改善するために多量の高分子重合物を添加した潤滑油が使用されている。この種の潤滑油は非線形の粘弾性挙動を示すことが知られている。しかし、この非線形粘弾性挙動が、ジャーナル軸受などの滑り軸受において特に問題となる自励振動に及ぼす影響は明らかではない。
 そこで本研究では、潤滑剤の非線形粘弾性挙動が、ジャーナル軸受の安定限界曲線およびオイルホワール発生時におけるジャーナルの軸心軌跡に及ぼす影響を明らかにする事を目的とする。
 解析において、微小振動の仮定を用いる場合と用いない場合の2とおりを検討し比較した。
 まず、微小振動の仮定を用いる場合は、油膜の弾性係数および粘性係数に対応する微分方程式の誘導を行い、これより油膜係数を算出する。この結果をもとに微小振動時の油膜力を求め、ジャーナルの運動方程式と連立させることによって特性方程式を導き、これを解くことにより軸受の安定限界曲線を求めた。
 次に、微小振動の仮定を用いない場合は、非線形粘弾性流体に対するレイノルズ方程式を直接解くことにより油膜力を求め、これとジャーナルの運動方程式とを連立させ、時間に関する高次差分法を導入することにより、ジャーナルの軸心軌跡を求め、軸受の安定特性を求めた。
 その結果、いずれの解析においても、低偏心率の場合は潤滑剤として粘弾性流体を用いた方がニュートン流体より安定域が増大し、高偏心率の場合は逆の傾向を示すという結論が得られた。