表題番号:1996A-270 日付:2002/02/25
研究課題機械的インピーダンス調節機構を備えた7自由度マニピュレータの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 菅野 重樹
研究成果概要
 マニピュレータの力制御に関する研究の多くは、手首部の力センサ信号に基づくソフトウェアサーボにより先端に仮想的なバネ特性を持たせることで、作業対象-手先間の力を調節する方法を用いているため手先作業に限定されている。これに対して、各関節の柔軟性を独立に制御してマニピュレータ全体を柔軟に動作させれば、より汎用性を持たせることが可能となる。しかし、実現段階においては高減速比減速器などに内在する非線形要素のため、理想的な関節柔軟性を実現することは困難であるという指摘がなされてきた。
 本研究では、柔軟要素であるバネと粘性要素であるブレーキを関節に直接組み込むという機械設計の発想により理想的な関節柔軟性を実現、さらにこれを任意に変化できる機構(MIA:Mechanical Impendance Adjuster)を開発し、7自由度力制御マニピュレータを構成した。具体的な研究成果を以下に示す。
 1.7自由度マニピュレータのハードウェア開発
 マニピュレータの手首は、3つの関節軸が直交していることが運動学的に望ましい、そこで、提案しているMIAのモジュール化設計と改良を行い、小型・軽量な手首メカニズムを開発した。また、この3自由度手首と既に開発済の4自由度アームを用いて、7自由度人間形力制御マニピュレータを構成した。
 2.動力学的影響を考慮したMIA関節制御則の構築
 MIAは、関節部にバネ要素を搭載しているため、高速動作時には各関節に顕著な動力学的干渉が生じる。そこで、MIAを搭載した多自由度マニピュレータの運動方程式の導出、制御系の安定性解析を行い、動力学的影響を考慮したMIA関節制御則を構築した。
 3.拘束環境下におけるマニピュレータの実現
 構築した7自由度マニピュレータに関節制御則を適用し、高い関節柔軟性を実現しつつ高速なマニピュレーションを実現した。