表題番号:1996A-265 日付:2002/02/25
研究課題射影多様体の代数幾何学研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 楫 元
研究成果概要
 一般に、射影多様体と整数d1に対して、多様体上のd+1点の張るd次元射影部分空間すべての和集合を考え、その閉包で定まる新しい射影多様体をd-secant varietyという。それに付随して、その退化の度合をはかる不変量、d-secant deficiencyが定まる。
 研究代表者は、射影多様体が等質である場合、すなわち、代数群の有限次元既約表現から得られる場合のsecant varietyについて研究しており、昨年度はd=1の場合にsecant varietyの退化する射影多様体の分類を行ったが、今年度は主に、一般のduの場合にd-secant deficiencyの値について考察した。パソコンを用いるなどして実験的計算を行い、それを基にして、Al型の場合にいくつかのd-secant deficiencyに関する定理を得た。(計算データを基に一般の場合の命題を類推し、それに証明を与えた)。具体的には、射影空間のVeronese埋込、そして、Grassmann多様体のPlucker埋込について、d-secant deficiencyに関する公式を発見した。この結果は現在論文にまとめている最中である。
 また、理工学部56号館において3月5日から8日まで、代数幾何学シンポジウム『射影多様体/代数多様体の射影幾何+特異点』(理工総研、数理科学:研究代表者、足立恒雄からの援助による)を開催した。代数幾何学者だけでなく、対称空間、Lie環、非結合的代数、可換的代数など、さまざまな分野の専門家が参加し、講演に対しては活発に質問コメントなどがなされ、非常に盛況だった。上記の研究成果はこのシンポジウムで講演発表した。