表題番号:1996A-255 日付:2002/02/25
研究課題地方都市における面整備の展開と都市形成に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 中川 義英
研究成果概要
 栃木県日光市の清滝地区を対象地区として選び、アンケート調査及びワークショップをおこなった結果、1道路等、交通関連施設の不足から都市機能が著しく低下、2生活関連公共施設及び地区空間の不足により、生活環境が極めて悪化、3家屋が密集し、また老朽化等により火災、地震等の発生に対する非常に危険、4土地利用の顕在、都市機能の低下、建物の老朽化により商業活動の減退、ということが生じていることが分かった。
 すなわち、緊急的対策を講じているものの、根本的対策としての面整備事業による整備が遅れている。そこで、本研究では、面整備事業の変遷、わが国での面整備の特性と問題点及び課題の整理等をおこない、その上で、地方都市における面整備手法のあり方およびメニューの作成をおこなった。その結果、大都市と異なり、基礎体力の向上を図るために地域活性化を目的とした面整備事業が望まれるとともに、建築物整備と一体となった面整備事業を行うことで、地域の商店街の活性化、生活環境の高度化、インフラ整備等を図っていく方策が抽出された。
 次いで、日光市清滝地区を対象とし、地方都市での今後の面整備の進め方及び適用性の検討をおこなった。日光都市圏は日光市のほか、今市市、足尾町、栗山村、藤原町の5市町村からなるが、その中心都市は人口6万人強の今市市である。日光市は人口2万人弱となっており、中心都市と言うより、玄関都市といえる。日光市の経済は観光というよりも工業で成り立ってきた側面があり、その中心が清滝地区であった。このような地区においては、1中心市街地が産業創造の場として快適な環境をつくること、2圏域全体の人々と外部の人々との交流の機会が生まれるような仕掛けを各所に配置すること、3地域独自の住環境のスタイルを導入すること、4改善・修築型で共同・協調型の面整備事業とすること、5地域のなかにコーディネイト組織を作ること、6まちづくり活動を支援するための資金を積み立てること、などが必要なことを提示することができた。