表題番号:1996A-247 日付:2005/04/11
研究課題並列処理型MRPシステムの研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 大成 尚
研究成果概要
 本研究では、並列計算機の処理ユニット(PE:Processing Element)数を増やすことで、従来の十倍から百倍以上の性能のMRP処理を実現する可能性を検討した。本研究では、PE数を増やしても性能が飽和しにくいMIMD分散メモリー型による計算機構を採用し、必要なデータは計算が始まる前にMRP計算部内のメモリ上に展開させておく「オンメモリ並列MRPシステム」とした。本研究における実施内容は以下の通りである。
 1.複数PEのMRP展開プロセスの同期化ロジックの開発
 2.各PE計算量の均等化とPE間データ転送の削減を図る負荷分散アルゴリズムの開発
 3.MRPの所要時間モデルを用いたシミュレーションによる並列化効果の推測
 4.小規模な実計算機構の構築と性能測定PEの数を増やすほどMRP時間は短縮されるが、新品目の割り当てられた別のPEへのアクセスが増えるため、短縮の度合は減ることが判った。32のPEから成るシステムでは1つのPEのシステムに比べ10分の1の時間で済むが、PEを32以上にするとPE間でのデータ転送が増え、効果はあまり上がらない。負荷分散アルゴリズムの効果としては、PEの数が少ない場合はMRP時間は10%ほど短縮されたが、64個のPEではあまり短縮されなかった。実際には6台のWSから成るシステムを構築し性能実験を行った。通常のメインフレームで10時間を要する12万品目のMRP計算時間が9分未満に短縮された。又、データベースアクセス時間を除いた純MRP時間で見ると、PEの台数しに比例して処理速度が向上することが判った。(1台→6台でほぼ6倍)
 データ転送時間の向上とより効果のある負荷分散方法が、超並列MRPの実現には不可欠である。