表題番号:1996A-244 日付:2002/02/25
研究課題結合導波路型光フィルタの偏光特性に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 宇高 勝之
研究成果概要
 本研究は、光ファイバ波長多重伝送方式におけるキーデバイスである狭帯域波長選択光フィルタの、実用上の大きな問題となっている偏光依存性を回避したデバイスの開発を目的としたものである。このため、斜め回折格子を利用した新たなデバイスの提案を行い、解析によりデバイス設計を行うと共に、実際に斜め回折格子並びにデバイスの作製を試み、以下のような成果を得た。
 1.デバイスの提案:回折格子の波数ベクトル方向に対して斜めに光を入射させることにより生ずるTE-TM偏光間の結合を利用し、偏光の変換は伴うものの特定の波長のみで入射偏光に依存せず出射光を得る偏光無依存狭帯域波長選択光フィルタを考案した。また、導波路に沿って回折される出射光を高効率で単一導波路に集光させるためのマルチモード結合器を考案した。
 2.解析:デバイス設計に資するために、各偏光についての回折効率の入射角依存性について、簡単のためスラブ導波路について数値計算を行った。その結果入射角を約40゜に設定することにより、TE TE間及びTM-TM間の結合を低く抑え、主にTE-TM間の結合を実現できることが判明した。これらの結果は、後日の基礎実験評価と共に論文発表を行う予定である。
 3.斜め回折格子及びマルチモード結合器の作製:周期約350nmの回折格子を作製するために、種々の高解像度フォトレジストを干渉露光に適用すべく検討を行った。現在光源のアルゴンイオンレーザの出力が大きくないため、露光に数分要するものの、良好な回折格子を作製できる見通しが得られた。また、マルチモード結合器の作製検討を行うとともに、斜め回折格子付導波路と集積化し、デバイス評価へと進む予定である。