表題番号:1996A-238 日付:2002/02/25
研究課題非均質油層における相対浸透率に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 在原 典男
研究成果概要
 本研究は非均質岩石における相対浸透率及び毛細管圧力のスケールアップに関する基礎的研究である。ここでは非均質油層における水平抗井への流動のように流動方向で浸透率が大きく変化する場合の疑似相対浸透率を対象とした。特に、絶対浸透率が不連続な境界面における毛細管圧力の影響を量的に定式化するとともに、非均質岩石中の油と水の流体挙動が有効相対浸透率にどのように影響するかに注目した。
 まず、非均質岩石を想定した複合コアの有効浸透率を求めるために、浸透率が10~100倍異なる2個のコアを直列に配置して、非定常油水系置換実験を行った。次に、ブラックオイル用シュミレーションモデルにより、実験で得られた油と水の排出量及び油の回収率データに関するマッチングから有効相対率を求めた。更に、浸透率が不連続的に変化する境界面の局所的な領域において、毛細管圧力によって水の飽和率分布がどのように影響されるか定式化し、定常流実験を想定した解析モデルを作成した。マッチングで得られた個々のコアの相対浸透率を用いて、複合コアの有効相対浸透率を算出し、シュミレーション結果と解析モデルによる結果を比較した。
 非均質媒体の絶対浸透率の調和平均が同じならば、絶対浸透率の比が有効相対率に影響を及ぼし、絶対浸透率の小さい媒体により大きく影響される。非均質媒体内の飽和率分布はキャピラリー数によって大きく異なり、その結果は有効相対浸透率にも影響する。異なる毛細管圧力特性を持つ媒体間では、エンドポイントの毛細管圧力が、重要になり、境界面における局所的な水飽和率の上昇や油のトラップが生じる。シュミレーションにより有効相対浸透率を算出する際には、飽和率分布が正しく再現できなければ、算出される有効相対浸透率は正しいとは言えない。複合非均質媒体の流動をシュミレーションでヒストリーマッチングする場合、単一均質媒体の相対浸透率を個別に飽和率に関して正規化して入力した方がよい結果が得られた。