表題番号:1996A-223 日付:2002/02/25
研究課題培養細胞の血清によるアポトーシスの機構解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 教授 並木 秀男
研究成果概要
 本研究で使用した血清は非熱処理の牛胎児血清、細胞はヒト正常二倍体繊維芽細胞を用いた。検定は通常のMEN合成培地に血清の低分子画分を補なった系で行った。これまでの研究で、血清中に存在する血清アルブミンが細胞死誘導活性を有することは解明していたが、それだけでは説明できない。アルブミン以外の細胞死誘導物質の存在が示唆されていた。そこで本研究ではこの未知物質を単離する目的で以下の実験を行った。まず、血清を限外濾過膜(MW cut 1,000)に通し、低分子画分を除去した。次にブルーセファロースカラムに通し、その非吸着画分を得た。この段階で血清アルブミンの混入はELISA測定の感度以下となり、アルブミン以外の細胞死誘導活性の大部分が回収できた。この画分による細胞死はチオールによって救済された。そこで本画分を多量に調製し、それを出発原料として様々なカラムクロマトグラフィーを行った。その結果、DEAEの陰イオン交換クロマトグラフィーが第一段の分離に適していることが分かった。この分離では、非吸着と吸着に大きく分けられたが、本活性は吸着部分に属していた。活性のあるピークを回集し脱塩濃縮後、凍結乾燥し、次に逆相のHPLCで分離を試みた。単一のピークに活性が認められ単離が完了したと思われる。現在、分子量測定、種々の物性計測を行っているところである。