表題番号:1996A-198 日付:2003/03/27
研究課題ミクロパネルデータを用いた生産関数の形状と生産性変動に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 教授 中村 愼一郎
研究成果概要
 筆者が1990年に発表した一般型尾崎費用関数を、これが伸縮性を失うことなく、要素価格について大局的に凹性を満たすように改良した、一般型尾崎-McFadden費用関数を作成した。この関数の実証的挙動を分析するために、紙・パルプ産業の企業パネルデータについて推定した。
 推定の結果、大局的な凹性は自動的に満たされていた。さらに、スルツキー行列の対称性も棄却されなかった。トランスログ関数を、同じデータについて推定し、挙動を比較した。トランスログ関数を用いると、標本の10%ほどに於いて凹性が満たされなかった。これに対して、非相似性は、一般型尾崎-McFadden、トランスログのどちらを用いても棄却できなかった。
 一般型尾崎-McFaddenが、トランスログよりも経済学的に望ましい結果を示しうる例を得た。更に、非相似性が頑健であり関数型に依存しない事を確認した。