表題番号:1996A-164 日付:2002/02/25
研究課題マキアヴェリにおける歴史叙述と共和主義国家
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学部 専任講師 厚見 恵一郎
研究成果概要
 本研究は、マキアヴェリにおける歴史観と国家観のつながりについてひとつの解釈を提供しようとするものであった。これは、哲学的著作を残さなかったマキアヴェリの政治思想を、その世界観的基礎にまで遡って原理的かつ体系的に考察し、それを近代政治思想史の出発点に位置づけようとする試みの一部である。96年度発行の以下のふたつの論文にその成果がまとめられた。
 (a)「政治と秩序をつなぐもの(下):マキアヴェリと政治の秩序(6)」(『早稲田社会科学研究』第53号、1996年10月)
 (b)「マキアヴェリにおける政体の設立と選択:マキアヴェリの歴史的国家理論(1)」(『早稲田社会科学研究』第54号、1997年3月)
 論文(a)では、マキアヴェリの歴史観における歴史認識のありかた、つまり歴史物語から政治的教訓を読みとる解釈技法の実践的な性格を明らかにしつつ、そうした歴史解釈が公共体的国家論と結合していく論理的経過を考察した。論文(b)では、論文(a)の内容をもふまえて、とりわけ政体の設立と選択に関する古典的政治学との異同に焦点を当てながら、マキアヴェリの歴史的国家の具体的内容を検討した。97年度以降も、政体論を中心に、引き続きマキアヴェリの国家理論の研究をすすめていく予定である。