表題番号:1996A-158 日付:2002/02/25
研究課題「20世紀世界システムの形成に関する研究」とくに19世紀システムを研究したカール・ポランニー理論との対比において
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学部 教授 東條 隆進
研究成果概要
 「20世紀」という時代をトータルに見たとき、その前半に2度の世界大戦と大恐慌を経験するという政治経済的激動に見舞われた。それに反して20世紀後半は比較的に安定した状況であった。、もちろん1991年の旧ソビエトの解体という歴史的な出来事はあったが。
 本研究はこのような事態をどのように理解すればよいかということに関して、国際政治経済領域における「制度」「機構」の果たす役割を重視するという視点からなされた。
 この研究では政治的領域においてはウッド・ロー・ウィルソン(W.Wilson)による国際連盟の建設、経済領域においてはケインズ(J.M.Keynes)の理念に発する国際通貨基金の成立をどのような視点で理解するかという点に焦点を当てた。そして、ウィルソンとケインズの思想、時代に対する認識が基本的な点で一致していたことが明らかになった。両者とも一国中心主義の時代は終わったという認識で一致していた。そして、国家間の関係を政治経済的な超国家関係を構築する必要があるという認識を示し、それを制度・機構として確立することが必要であると考えた。
 ところで、このような制度がどのような思想によって構築されるべきか、という問題が重要になる。ケインズの制度・機構に関する哲学はベンサム的功利主義とは異なる。それは後期ウィトゲンシュタインの哲学に基づくものである。このゲームとケインズの「一般理論」の関係について「ケインズ、ウィトゲンシュタイン、ムーア」というタイトルで早稲田社会科学研究に論文を発表した。