表題番号:1996A-127 日付:2002/02/25
研究課題設備の保全予防設計に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 棟近 雅彦
研究成果概要
 工業生産において、設備の重要性はますます増してきている。設備を有効に稼働させるためには、設備の計画段階から信頼性、保全性、経済性等の高い設計を行ない、保全費用や劣化損失を少なくするための保全予防の考え方を取り入れることが必要である。
 保全予防を達成するためには、過去の不具合事例や保全情報をフィードバックし、設備設計の中に盛り込んでいくことが必要である。しかし、実際は保全予防を達成するための本質的な情報が何かがつかめておらず体系的に整理されていないので、事後保全や予防保全にとどまり、設備に起因する重大な損失を被っているのが現状である。
 本研究では、実際の設備の不具合事例を多数収集し、その不具合を未然に防ぐために設備設計の段階で考慮しておかなければならなかった技術情報を抽出、分析することにより、保全予防を達成するための本質的な情報が何であるかを明確にすることを目的とした。
 まず、不具合事例から設備に要求される品質、不具合モード、設計不良を抽出した。また、設備設計に必要な技術情報を整理することにより、保全予防の原理を導出した。さらにこの原理をもとに、設備の設計時、検収時に不具合をチェックするためのチェックシートを提案した。
 本研究で提案したチェックシートは、解析に用いた事例と類似した設備では、抜け落ちがなくチェックできることが確認できた。今後は、他の種類の設備に適用し、有効性を確認することが課題となる。また、保全予防の原理に基づき、保全が不要な設備を設計するための方法論を今後提案する予定である。