表題番号:1996A-116 日付:2002/02/25
研究課題モダンヒューリスティックアルゴリズムを用いた大規模AGVシステムに対する単一方向フローパス設計に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 吉本 一穂
研究成果概要
 市場のニーズの多様化に伴って発生する多品種少量生産の要求に対応し、製造業ではフレキシブルな生産システムの構築による情報と生産の同期化を図っている。そのようなシステム内の部品等、物の搬送を行うものとしてAGV(Automated Guided@Vehicle)が多く用いられているが、そのシステムの構造によって設置、使用にかかるコストに大きな差が生じる。従って、効率的なAGV搬送経路(フローパス)設計が重要なテーマとなっている。
 AGVフローパス設計に関する研究は数多くなされているが、問題点としてマシンの配置(マシンレイアウト)を所与としている。しかしながら、AGVの搬送距離はマシンレイアウトによって決まるため、所与のレイアウトの下でAGVフローパスを設計することが必ずしも最適とは言えない。すなわち、マシンレイアウトとAGVフローパスを同時に考慮する必要がある。また、各マシンにおいて物の受け渡しを行うP/D(Pick-up/Drop-off)ステーションをフローパス設計後に決定するなどマシンの特性を無視しているところが見られる。
 本技法ではマシンレイアウトの解の推移にSA(Simulated Annealing)を用いている。そのため幅広い探索を行うためには異形状異面積で矩形のマシンの配置情報を一元配列で表現する必要がある。異形状異面積マシンの配置表現手法にはSFC(Space Filling Curve)が提案されているが、いずれも形状固定のマシンの配置が保証できないものであった。そこで、これを可能にする配置手法としてB-L(Bottom-Left)アルゴリズムを用いる。B-Lアルゴリズムでは箱詰めの要領で各マシンを右上から下方向、障害物に接すると左方向へと順に詰めていく。全てのマシンを詰め終わるとマシンレイアウトが表現できる。
 本研究ではP/Dステーションが固定されている各マシンについてマシンレイアウトとAGVフローパスを同時に考慮することで、総合的に良い解を求める技法の開発を行った。これに伴い、問題が大規模となるので、モダンヒューリスティック手法であるSA及びGA(Genetic Algorithm)を導入して効率的な探索手法を開発した。