表題番号:1996A-104
日付:2002/02/25
研究課題自己スケジューリングパラメータを持つアファイン系に基づく非線形制御系の解析設計理論
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学部 | 教授 | 内田 健康 |
- 研究成果概要
- 非線形制御系の設計手法という観点から体系化されつつある近年のゲインスケジューリング手法を眺めると、スケジューリングパラメータが状態に依存することを考慮していないため、得られる制御機能が保守的になるという問題があった。本研究では、スケジューリングパラメータが状態に依存することを可能な限り陽に考慮したゲインスケジューリング手法の開発と、その結果に基づく非線形制御系り解析設計理論の確立を目標とし、下記のような成果を得た。
非線形系を、情報をパラメータとして自己スケジューリングパラメータをもつアフィン系としてとらえ、パラメータを固定して線形系に対する安定条件あるいは有界L2ゲイン条件を考えると、それらの条件は、状態という連続値のパラメータに依存する無限次元の条件となる。本研究では、パラメータの値域に適当な凸多面体を導入し、その端点において条件を満足すれば元の無限次元の条件を保証する新しい解析・設計方法を開発した。その結果、十分条件となるため保守性の改良にはまだ検討の余地があるが、有限個の条件を用いて、無限個の条件により記述される安定性やL2ゲインの有界性を保証することが可能となった。保守性の改良のためには、凸多面体の構成法が重要であるが、本研究においては、この点についても既に有効なアルゴリズムの開発への手がかりを得ている。
最も単線な非線形系として双線形系がある。本研究では、双線形系に対しては、その特別な構造に着目した保守性の少ない解析・設計法を検討した。双線形系に対しても制御入力にかかる状態をスケジューリングパラメータと見なし、ロバスト制御手法を適用するというのが基本的な考え方である。ここでは、双線形系の特別な構造を利用して、パラメータの領域をより詳細に評価することにより保守性の少ない方法を導くことができた。