表題番号:1996A-086 日付:2002/02/25
研究課題経済構造変化における企業の役割と適応的行動についての分析-ドイツ統一プロセスにおける企業行動と構造変化の実証分析-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 助教授 藁谷 友紀
研究成果概要
 研究内容とその成果を以下の2項目にまとめることができる。
 Ⅰ、「ドイツ統一」に伴うマクロ経済的変化と企業行動の関係について、時系列分析を行った。旧東独生産企業体の投資データ(旧東独プランコミッションの内部データ)に、構造変化検証モデルを適用し、統一前の企業行動の変化が旧東独のマクロ経済の実態の推移に対応すると同時に、統一という「構造変化」の経済的説明要因であることを明らかにした。本分析結果の一部を、これまでの研究成果とともに、経済構造の変化と企業行動の関係についての分析として公表した(「経済構造の変化と企業行動の時系列分析」『経営学論集第67集』所収)。同論文では、企業行動の変化をマクロ経済的変化に対する適応的行動としてとらえ、その適応的行動が企業業績に与える影響とマクロ経済の調整プロセスに与える影響とを検討するとともに、マクロ経済変化の起因としての企業行動について明らかにした。
 II、ドイツ企業の代表的データベースであるBonner Stichprobeとの比較可能な形の日本企業データベースを作成する 作業にたずさわった。ドイツ統一後の調整プロセスにおける企業行動いついて、日独比較分析の観点から明らかにすろことをめざしており、この作業はそのための準備作業である。ベルリン国立社会科学研究所(WZB)との共同作業であり、本特定課題から研究助成を得るとともに、一部、ボン共同研究プロジェクト(第14プロジェクト)とドイツ学術振興会(DFG)から研究助成を得た。成果の一部を・Farming Out of Japanese Industry,presented paper at the German- Japanese Workshop on Currency Appreciation and Structural Economic Change,Tokyo ・Wirtschaftlicher Strukturwandel im Spiegel der Rechnungslegung, presented paper at the workshop Rechnungslegung und Analyse japanischer Unternehmen,Berlin として公表した。
 今後、日独比較の実証研究を通した、経済動態と企業行動の役割についての検討を進めるとともに、成果の一層の一般化と理論化をめざす。