表題番号:1996A-075 日付:2002/02/25
研究課題4次元空間における球面の絡み具合の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 教授 鈴木 晋一
研究成果概要
 上記の課題についてこれまでもいくつかの研究をしてきたが、今回は関西大学の細川藤次教授の協力を得て、当初に目標に掲げた次の結果を得ることができた:4次元球面内に交わらずに埋め込まれた2つの2次元球面は、絡みホモトピーによって、分離した2つの2次元球面に移る。この結果は、かなり以前から予想されていたがなかなか解決できずに残っていたもので、3次元空間と4次元空間の違いを示す重要なものであり、4次元空間における絡み具合を顕す大事な手がかりを与えるものである。実際にはより一般的に、4次元球面内に埋め込まれた多数の2次元球面に関する次の定理が証明され、その特別な場合(つまり、n=2の場合)として上記の結果が得られる。
 定理:4次元球面内に交わらずに埋め込まれたn個の2次元球面K1、…、Knは、絡みホモトピーによって、各i=1,…,nについて、4次元球面におけるKiの補空間がホモトピー円周となるような埋め込みに移る。
 これらの成果は、1996年7月に早稲田大学国際会議場で開催された結び目理論の国際研究集会(日本数学会と早稲田大学共催)において発表され、この研究集会の報告集(レフェリー付き論文集)に次の形で掲載された:F.Hosokawa and S.Suzuki:Every 2-link with two components is link-homotopic to the trivial 2-link,Proceedings of Knots*96,pp.319-326,World Scientific Publishing Co.,1997年4月