表題番号:1996A-037 日付:2002/03/13
研究課題12ー13世紀のポーランドの社会経済構造の研究-KSIEGA Henrykowskaの研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 教授 井内 敏夫
研究成果概要
 Ksiega Henrykowskaとは、シロンスクのヘンリクフに創設されたシトー派の修道院の年代記である。正式の名称は、Liber fundationis claustri Sancte Marie Virginis in Heinrichow.二部の構成からなり、第1部は、1268年から1273年の間に当時の修道院長ピョートルによって作成されたものと考えられ、第2部は1310年以降に書かれた。内容は、修道院の創設やその所領である個々の村落の獲得の経緯が主となっており、村の入手の際に得た公文書も含まれている。所領の形成に関する経緯が記述されるのは、かつての持ち主たちの家族による土地の返還要求に修道士たちが備えるためであったろう。その結果、当時のポーランドにおける相続と買い戻し権のあり方や、交換・買収・追い立てなどの手段を通じてまとまった形の大所領が形成されていく過程がよく分かる。また、12ー13世紀のポーランド農村の経済・社会史、とくにドイツ法に基づく農村の構造、植民や集落のあり方に関する豊富な情報が含まれている。さらに詳細な分析が必要である。文献としては以下のものを利用した。Ksiuga Henrykowska,wyd.i przekoad R.Grodecki,Poznac 1949.