表題番号:1996A-019 日付:2002/02/25
研究課題フランス会社法における理論と政策
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 奥島 孝康
研究成果概要
 本研究は、長年取り組んできた私のフランス企業法研究を、『フランス企業法の理論と動態』および『フランス競争法の形成過程』の2冊をまとめて発行するにあたり、前者についてのいわば総括的な研究として位置づけられるものである。
 本年度、具体的成果として発表したものは、「株式会社の機関構成原理」(酒巻=奥島編)『現代英米会社法の諸相』(成文堂、1996年12月20日発行)として、その427頁ないし446頁に収めた論文である。このテーマはかなり長い間温めてきたものであり、その意味で、私のフランス会社法研究の一つの視点を示す論文となったのではないかと思う。
 内容的には、現代会社立法の最大の課題の一つというべき株式会社機関構成における一元制と二元制について、そのいずれをも歴史的に経験し、しかも、現在その二つのシステムを同時に会社法に組み込んでいる現行フランス会社法上の問題点を検討するものである。重要な基本的課題でありながら、類似の研究がまったく存しないという点から、それなりの独自性と理論的な主張を提示しえたのではないかと思う。
 この論文を中核として、私のフランス会社法研究は一応をまとまりができ、さらに、私のフランス競争法研究の一応の総括として昨年発表した「フランス競争法の性格」(正日彬編)『アメリカ・EU独占禁止法と国際比較』(三省堂、1996年4月10日発行)とによって、私のこれまでの「フランス企業法研究」は一応のピリオドを打ち、いよいよ次なる課題である「フランス会社立法史研究」へ進みたいと思う。それゆえ、本論文の私の研究史における位置づけは重い。