表題番号:1996A-014 日付:2002/02/25
研究課題マックス・ヴェーバーにおける政治的なもののエレメント-品位を具った閑暇と精神の刻印力-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 助教授 仲内 英三
研究成果概要
 ここ三年ほど続けてきた「マックス・ヴェーバーにおける政治的なもののエレメント」というテーマの研究も、1997年7月発行論文を含めて、全部で六本の論文にまとめられることになった。正確に言えば、実はあと一本書かなくては完成しないのだが、しかしそれが無くても、一応の話のまとまりはついていると思っている。このように、本研究の内容については、すでに論文として発表されているので、それを参照されたい。ここでは一連の研究を振り返って、言い訳や反省めいたことを書いてみたい。本研究は、まずはマックス・ヴェーバーの政治論文を出発点にしているが、いわゆるヴェーバー研究ではないのであって、たんにヴェーバー個人の思想(あるいは基本的発想)に対象を限定するのではなく、むしろそれを、西欧世界に現れた諸々の思想家や哲学者の発想と関わらしめるとともに、さらに古代から近代に至る「西欧」の政治社会や歴史に関連させつつ論じたものである。そのような研究手続を踏んだ理由は、それによって、西欧世界が「政治的なものの」エレメントと考えてきた部分や、そうした自己了解を明らかにしたかったからである。したがって、普通なら複数の研究者たちが別々に扱っている ような問題を諸共に論じているので、それぞれの領域の専門家には本研究の全体を理解するのは困難だったのではないだろうか。正直言って、研究を続けるなかで、いろいろと考えを改めたり、また自分のなかで変化した部分があることは確かである。しかしながら、そうした問題については、自分のなかで納得のいく決着がまだ着いていない部分が多いのも事実なので、積み残した問題については今後研究を続け、その成果は別の機会に発表していきたい。