表題番号:1995B-042
日付:2002/02/25
研究課題日本語と英語の意味と解釈における状況依存性の対照研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
---|---|---|---|
(代表者) | 教育学部 | 教授 | 中野 美知子 |
(連携研究者) | 語学教育研究所 | 教授 | 水野 満 |
(連携研究者) | 法学部 | 教授 | 原田 康也 |
(連携研究者) | 教育学部 | 専任講師 | 吉田 恵以子 |
- 研究成果概要
- 照応表現や指標表現(英語の人称代名詞や日本語の「こ、そ、あ、ど」の指示対照の同定や「の」でつながれた名詞や名詞句、名詞相当表現の間の関係など、自然言語による発話の解釈に文脈や言語外の状況といった情報を必要とすることは広く認識されている。しかし、人間や計算機による自然言語処理のモデルにおいて、言語的情報と言語外的情報を統一的に処理する認知的なメカニズムがどのようなものであるかは十分に解明されていない。本研究の目的はこのような人間の持つ認知メカニズムと言語理解の関係を明らかにし、言語学や認知科学の発展に寄与するとともに、将来計算機上で実現されるべき自然言語処理システムの理論的な基礎を築くことであった。
自然言語のための文法の理論化と分析に際して、理論の限界をさぐるために、ある程度人工的な例文を構成し、その文法性を判断するという作業も避けられないことではあった。しかし、従来あまり分析されたことのない項目について、やみくもに英語の分析結果を日本語に当てはめていた従来の研究方法は根本的に批判される必要もあった。そのために、多くの実例の中から、重要な例文を持ち出して理論を批判するとともに、計量的な分析に基づいてその基本的な性質を明らかにする作業も必要であった。本研究では、こうした点を考慮にいれ、電子的な手段で入手可能な言語データを比較考証の資料としつつ、文法理論上の考察を進めるという、バランスのとれた研究方法を採用した。
研究期間中に学会発表した論文5本と学内外で執筆した論文12本を、状況と意味の第二巻、「状況と推論」として刊行を予定している。