表題番号:1995B-026 日付:2002/02/25
研究課題廃タイヤ活性炭等によるハイテク汚染物質等の土壌及び環境中からの回収に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 名古屋 俊士
(連携研究者) 理工学部 教授 岩崎 考
(連携研究者) 理工学部 助教授 山崎 淳司
研究成果概要
 本研究で用いた廃タイヤ活性炭は、社会福祉法人北海道リハビリで作成された活性炭である。廃タイヤ活性炭が有効に利用出来れば、廃棄物としての自動車タイヤの再利用の面と福祉活動の両面に役立つことになる。
 そこで、廃タイヤ活性炭の基本特性を把握すると共に、その有効利用として、ハイテク汚染物質として社会面を賑わした有機塩素系化合物であるトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1.1.1-トリクロロエタンの3種類に注目して、廃タイヤ活性炭による吸着・脱着等に関する検討を行った。
 廃タイヤ活性炭の比表面積は、53m2/gであり、活性炭繊維の比表面積約2500m2/gに比べて、著しく小さな比表面積であることが分かった。また、細孔分布は、細孔直径20~500Aのメソ孔が非常に発達しているのが分かった。
 有機塩基性化合物の吸着捕集に関する廃タイヤ活性炭の最適使用条件は、粒径範囲1mm以上2mm未満の範囲に粒度調整を行い、内径60mmの充填管に充填密度0.3g/cm3で充填し、有機塩素系化合物を面速度0.59cm/secで通過させたときである。
 その結果、各有機塩基性化合物の吸着量に違いがあるものの、活性炭繊維に比べたら著しく小さかった。土壌中の吸着には水分の影響を受けて良い結果が得られなかった。
 従来は、生産コストと吸着量の総和によって評価されたものが、環境ファクターもその評価の中に取り込む必要があると考える。つまり、吸着量を目的に開発された繊維状活性炭と、廃棄物として放置されていた古タイヤを焼却して作った廃タイヤ活性炭では、自ずと吸着量に差のあることは明白である。しかし、廃タイヤ活性炭の場合、古タイヤを放置しておくときの環境コスト、並びに処理コスト、福祉政策としてのコスト等も併せて考えたときに、廃タイヤ活性炭は、有機塩基性化合物の吸着剤として有効と考える。