表題番号:1995B-020 日付:2005/03/24
研究課題ドイツ語中・上級教育のための教授法と教材に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 助教授 原口 厚
(連携研究者) 商学部 教授 猪股 正廣
(連携研究者) 教育学部 助教授 神尾 達之
(連携研究者) 法学部 教授 丸本 隆
研究成果概要
 95年度には、中・上級者に対するドイツ語授業についての各自の授業実践報告等の情報交換を行うと共に、主として国内で発行された教科書についての共同研究を行った。この過程の中で明らかになった授業と教材の問題点とその改善策について、96年度は次のような役割分担のもとに研究を進めた。
 猪股は、ドイツで発行され、輸入されている主要な教科書について、教授用資料と練習帳を含めてその問題点の検討を行った。個別に取り上げた教材はDeutsch aktiv Neu,Themen neu,Sprachbrucke,Die Sucheである。手続き上、検討作業はそれぞれの第一分冊に集中せざるを得なかったが、これを中級段階の橋渡しと考えるのは無論のこと、使い方によってはそのまま中級段階とすることも可能である。
 神尾は、初級で扱うべき文法事項の範囲についてはMinimalgrammatikの名称のもとに検討されているのに対し、中・上級者に対する必修文法事項の研究はほとんどなされていないという点に鑑み、初級文法からもれた文法事項と、造語法等の従来比較的軽視されてきた文法事項を整理し、中・上級版Minimalgrammatikを作成し、これを二年生以上の授業でどのように扱うかという問題について検討を行った。
 丸本は、従来の訳読中心の教科書に代わる総合的教材開発を目標として、辞書・語学学習教材用電子メディアの有用性についての検討とその活用法について、既に開発されているソフトをもとに研究すると共に、中・上級の学習に最低限必要な語彙・表現について具体的検討を加えた。さらにドイツのDaF教員と中・上級教育に関する情報交換を行った。
 原口は、文法訳読法に代わる読解能力養成について、まずテクスト言語学、認知心理学等の知見の検討を行い、読解プロセスにおける言語情報の概念推進型処理の重要性に配慮した教材と教授法の開発が肝要であるとの認識を深めた。そしてこれに基づき新聞、雑誌のテクストを素材として作成した数種類の中級用教材を授業で試用し、その有用性と問題点について考察を行った。