表題番号:1995B-015 日付:2005/06/22
研究課題現代社会における「道空間」の社会文化的意味に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 教授 長田 攻一
(連携研究者) 文学部 教授 坂田 正顕
(連携研究者) 文学部 教授 井桁 貞義
研究成果概要
 本研究では、91.92年度において実施された第1次調査成果を踏まえて、(1)四国遍路道の形態的類型化作業、(2)遍路道利用主体である「遍路」にたいするアンケート調査の実施とその解析、(3)道空間関連文献目録の補充作業を主たる研究目的とした。
 このうち、(1)遍路道類型化作業においては、1)5万分の1の地図をもとに複数遍路道ルートを確定し、さらに遍路道1kmごとの標高をプロットしたデータベースを作成した。遍路道のルート・距離・高さによる特定地点間遍路道の特性やその類型などの導出を可能にするベースであるデータ群を整備した。また、コンピューターによる3Dグラフィック表示による遍路道類型化作業の可能性が模作され、そのおよその見通しを得た。2)遍路道の上り下りという垂直的次元からマクロ的な仮説(平面的遍路観から垂直的遍路観へ)を提示し、その成果の一部は、96年11月放映のNHKテレビ松山支局のドキュメント「空海への道」において取り上げられた。(2)においては、1)96年4月~5月にかけて有意抽出された16札所に調査票留め置きの遍路アンケート調査を実施し、有効調査票数1237票を回収、その整理集計作業を終了した。現在データの加工・解析中であるが、最終的な調査報告書を本年中頃をめどに目下準備中である。2)第1次調査と今回調査を補足するための霊場・バス会社・遍路宿等へのインタビューを含む現地調査を実施した。このうち、垂直次元の遍路に関連して、霊場境内および近辺遍路道に関する空間高低配置に関する試案的な視覚的データベースを作成してことが特筆される。(3)道空間文献目録に関しては、第1次調査における成果をもとにその後の文献をフォローするとともに、あたらしく展開されつつあるインターネットホームページにおける四国遍路関連サイトの収集分析が実施された。最終報告書とともに提示される予定である。