表題番号:1995A-312 日付:2002/02/25
研究課題為替レートと産業構造の変化についての研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) システム科学研究所 教授 真野 芳樹
研究成果概要
日本経済は,対外貿易なしでは成り立たない経済構造になっている。また,我国の主要産業は,輸出依存体質になっている。従って,為替レートの変化は,産業活動のみならず,国民生活の隅々にまで影響を与えることになる。この現状を受けて,為替レートの変化が国民所得にどのような影響を及ぼすかについて研究した。
貿易に関して,輸入財と輸出財とでは,為替レートの変化によって引き起こされる影響は異なり,さらに,競争財か非競争財かによって,産業全体に及ぼす影響も異なってくる。輸出入財が,最終需要財か中間財か,さらには一般財かによって影響の在方がまったく異なる。これら財の性格分類から影響の仕方を理論的に分類した。「為替変動と産業構造」(早稲田大学システム科学研究所紀要27号,1996年3月)と題して発表した。
この論文の中では,特に価格波及効果と生産波及効果に視点をあてて分析している。生産関数に関する影響も考慮する必要があるが,産業連関構造から固定的投入係数を仮定しているので,本論では分析していない。
今後,理論研究に基づき量的分析を展開していく。日本経済が,空洞化していく将来において,どのような方向を見出して政策手段を打たなければならないかが明らかになると思われる。柔軟な対応力を持つ産業構造を維持発展させるために,どのようなことを,今しなければならないのか示唆を与えていると思われる。