表題番号:1995A-309 日付:2002/02/25
研究課題衛生搭載用TOF-SSDテレスコープ粒子弁別器の開発及び校正実験
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学総合研究センター 教授 菊池 順
研究成果概要
PLANET-Bは火星の上層大気,電場,磁場,粒子などの観測を目的とした火星探査衛星で1998年に打ち上げられる予定である。数十~数百keVの電子,水素イオンから酸素イオンまでの粒子の弁別,方向分布,およびエネルギー分布測定をするための観測装置EIS(Electron and Ion Spectrometer)はこの衛星に搭載されることになっていて,そのプロトタイプ検出器の性能試験を行うことがこの研究の目的である。この検出器はTOF(Timeof flight)法によって入射粒子の飛行時間を測定してその速度を決定すると共に,シリコン検出器によって入射粒子の全エネルギーを測定して,入射粒子の種類(電荷Z)とエネルギーを測定するものである。また装置は衛星の回転軸(スピン軸)と直角方向に取り付けてあり,衛星の回転に同期して一周期に16回データーを取り込むことによって粒子の方向分布を知ることが出来る。入射粒子はまずカーボンの薄膜を通過した後に4cm後方に設置されたシリコン検出器に到達するが,この時に薄膜とシリコン双方で二次電子を放出する,この二次電子をMCPで検出して時間差を測定し,飛行時間を計ることが出来る。この時間差は上記のエネルギーと粒子に対しては5~100nsとなる。この装置の測定精度は主に時間測定の精度,エネルギー測定の精度によって決まるが,測定効率は二次電子放射の確立とこれの検出効率に大きく依存する。特に二次電子の放射効率は粒子の種類とエネルギーに依存するために,この装置の検出効率を決定するためには,α線,β線や加速器による校正実験が不可欠である。その為に早稲田大学理工学部のイオン加速器を使用して性能テストを行った。また早大の加速器で出すことができなかいエネルギーの粒子については,立教大学の加速器を使用して実験を行った。
この実験結果はフライトモデルの設計に反映される。