表題番号:1995A-305 日付:2002/02/25
研究課題統制の位置(LocusofControl)が自己教示の効果に及ぼす影響
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 教授 根建 金男
研究成果概要
本研究では,被験者の「統制の位置」との関連から自己教示がシャイネスの変容に及ぼす効果を検討した。
被験者は,シャイネスの高い大学生であり,内的統制型,外的統制型に分けられた。これら2群の被験者はそれぞれ,(1)自己教示条件(シャイネスに対処するための適切な言葉を言い聞かせる訓練を行う)または(2)統制条件(特別な訓練を行わない)に振り分けられた。こうしたトリートメントを行う前のプリテストと後のポストテストで,被験者が初対面の異性と会話する場面を設定し,その際のシャイネスを認知,情動,行動の側面から測定した。
その結果は,およそ次の通りであった。〔認知的側面について〕シャイネスに関する自動思考,会話場面に
ついての認知的評価において,自己教示条件は統制条件よりも,トリートメントによる改善が大きかった。また,認知的評価のうちセルフ・エフィカシーについては,内的統制型・自己教示条件での改善が大きかった。
〔情動的側面について〕自己教示条件では統制条件と比べて,状態不安が大きく改善した。また,会話直前の心拍数については,統制型の効果のみがみられ,内的統制型は外的統制型に比べて,プリテストからポストテストにかけて心拍数の低減が大きかった。〔行動的側面について〕外的統制型・自己教示条件では,外的統制型・統制条件よりも,プリテストからポストテストにかけて「オープンな感じ」が低減した。また内的統制型・自己教示条件は,内的統制型・統制条件と比べて,「積極的に関わっている感じ」が増大した。以上のことから,概して,自己教示訓練がシャイネスのさまざまな側面に対して効果があることがわかる。また,統制型については,内的統制型であること,または内的統制型で自己教示訓練を受けることが,ポジティブな結果に結びつくようである。