表題番号:1995A-295 日付:2002/02/25
研究課題情報化にともなう高齢運転車の作業負荷に関する基礎的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 教授 石田 敏郎
研究成果概要
カーナビゲーションシステム(以下カーナビ)の利用しやすさについて,実走行実験による評価を行った。
ガイダンスの条件は画面のみ,音声のみ,画面+音声の3条件とした。被験者は高齢者(63~73歳,4名,男性),男子(19~27歳,6名),および女子(19~29歳,3名)であり,全員カーナビを使用するのは初めてであった。走行ルートは3種類で,1走行条件当たり30分前後で,順序はランダムとした。地図の認知に関係すると思われる短期記憶の実験を走行前に実施したが,各被験者層間には差はなかった。
1走行当たりのルート選択誤り回数は,高齢者群1.17,女性群0.56,男性群0.22回であり,高齢者群の誤り率がもっとも高かった。ガイダンス条件別誤り回数は,全39回の走行中,画面のみが10回,音声のみが8回,画像+音声が5回であった。高齢者群の誤りは,音声のみのガイダンスがもっとも多く,他の群が音声での誤りがないのと顕著に異なっていた。音声のみガイダンスで誤りのもっとも多かった高齢群の被験者は,短期記憶の実験成績が顕著に低かった。高齢者は,画像のみのガイダンスでも誤り率が高く,短期記憶に加え,視力低下の問題がカーナビ使用時に障害となることが示唆された。
走行後に実施したアンケート調査では,もっとも評価が高かったのは音声+画面,次に音声のみで,画面のみは評価が低かった。各ガイダンス条件ごとでは,画面のみは運転の邪魔になる,運転中気になる,煩わしい,右左折しにくいなどの意見が多かった。
今後カーナビゲーションシステムは普及していくと思われるが,高齢者にとって現状のシステムは不満足なものである,よりよいインターフェースの開発が望まれる。