表題番号:1995A-291 日付:2002/02/25
研究課題戦後労働運動の地域比較研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学部 助教授 篠田 徹
研究成果概要
本研究は日本の労働政治の地域特性とその変遷について,政治経済構造,産業構造,企業構造,労働組合構造の差異を考慮しながら各地における戦後労働運動の展開過程の分析を通じて,一定の諸類型を析出することを目的とした。
とりわけ本年は,日本労働政治の基層をなす企業別組合の実態理解と近年の地方連合の結成とそこでの民間企業組合の関与実態理解という観点から,まず地方連合3役人事の比較検討を行い,そこで確認された諸パターンから上記観点に関連して重要と思われる地域に注目し,そこでの諸特徴の整理と類型化の基礎作業を,現地調査を集中的に行いながら進めた。
その結果,全国の地方連合でこれまで比較的多くの会長職を歴任している電機,鉄鋼,自動車,金属機械,ゼンキンの4グループに着目し,それら各グループ内で「拠点工場・分工場(電機)」「新型工場・旧型工場(鉄鋼)」「地場有力企業・地場一般企業(金属機械・ゼンキン)」「上位企業・中位企業(自動車)」といったサブ・グループの存在を確認した。
現在はこれらの諸カテゴリーについて,対象地域・企業を限定したケース・スタディを歴史的資料の収集や再インタビューなどとあわせて進めつつある。そしてこれらの作業から前述した地方労働政治の諸類型の析出へと進む予定である。
なお本研究の結果はこれから約1年をめどに,単著としての刊行を予定している。