表題番号:1995A-278 日付:2002/02/25
研究課題超高速流測定用マイクロフローセンサー
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 庄子 習一
研究成果概要
本研究では超高速流の計測を目的とて流れにより生じる揚力を利用した新しい翼型マイクロフローセンサーを提案し,その基礎研究を行った。以下に本年度の成果を述べる。
1. 超高速流計測翼型マイクロフローセンサーの設計,試作
流体力学,航空力学をもとに高速流体において効率良く揚力を受ける翼の設計を行い,数種類の翼形状を決めた。微小構造体では粘性の影響が大きいため,構造よりも翼表面の形状が揚力発生に寄与することが予想された。そこで,翼表面に種々の形状の凹凸を形成し,翼表面と裏面における流速の差を大きくし揚力を得る翼を考案し,翼の表面積を変化させ実際の微小翼パターンを設計した。また,マイクロマシーニング技術の一つである高濃度ボロン拡散層を用いた洗濯エッチング技術を応用した製作プロセスにて微小構造体の試作を行った。このときボロン拡散などにおける残留応力の影響で構造体が破壊したり,反りが生じたりという問題があり,この応力を緩和するため高温アニールをするなど製作プロセスの改良をすすめている。
2. 有限要素法流体シミュレーションによる揚力解析
微小翼の周りの気体の流れについて有限要素法を用いた流体シミュレータを用いて解析を行い,翼弦長により揚力が大きく変化することを確認した。また,高速流になると翼と流路壁との距離により流体が影響を受けることがわかり,センサを設置する流路の形状の設計の参考とした。
3. 微小流路内の流れの測定
マイクロマシーニングで微小な流路を形成し,印可圧力と流量から粘性の影響を測定した。この実験の成果の一部をPACIFICHEM '95のMicro Total Analysis System Symposiumにおいて紹介した。
今後,これまで得られた成果をもとに翼型マイクロフローセンサを改良,試作して特性を測定しその結果について学会および論文誌に発表する予定である。